関係性の見える舞台 

この一語に尽きます。

 

Real Contact 2011 は、 2005 年日野晃が、 Forsythe Company に初めて招聘された時がきっかけで始まりました。

そもそもは、 Forsythe Company に日本人として初めて抜擢された安藤洋子さんが、私の道場で「これをやりたい」と叫び、そのテクニックの一端を Company に持ち帰りました。
それを見た William Forsythe が、安藤さんにみんなにそのテクニックを教えてくれないか、と頼んだのです。
そこが入口となり、 William Forsythe が私を毎年招聘し、今年で 7 年目になります。

2005 年 Forsythe Company から帰国し、安藤洋子さんと日本のダンサー達にも、日野理論を伝えようと、二人でワークショップを開きました。
その時は、嵐が吹いたのか、 9 日間延べ人数 2,300 人程集まった、史上最大のワークショップになったのです。

その時が、私とコンテンポラリーダンスの日本人ダンサーとの、初めての出会いです。
この時、 Forsythe Company のダンサーと日本人ダンサーとの、余りの差に愕然とし、日野理論を伝えるということよりも、日本のコンテンポラリーダンスの底上げをしなくてはならないと思い始めたのです。

それがワークショップという形で、大阪、神戸、京都、東京、岡山、福岡、沖縄と広がり、外国ではフランス、イタリア、スイス、 Forsythe Company と続いてきているのです。
海外で広まって来ている「胸骨」操作は、kyokotsuと呼ばれ、Forsythe Companyのダンサー達が、個人のワークショップの折それを指導しているからです。
クラシックバレエの世界でも、フランスリヨンのコンセルバトワールで指導されている、ドミニク先生(故モーリス・ベジャールの全盛期のメンバー)も指導に取り入れてくれています。

ワークショップでは、自分の身体を連動させ、より美しい動きを作り出したり、身体を管理できるようになる為に、身体を知覚することをメインにした「身体塾」。
頭で考えるのではなく、身体そのもので動きを創造出来るようになる為の「関係塾・即興塾」。
そして、それを舞台で表現する為の「表現塾」という三つのカリキュラムに分かれて展開しています。

そこに参加する人達の成長の過程や、成長の為の動機付けとして何か見える形が必要だということと、参加する人たちの要望から、公演としての Real Contact が生まれたのです。

もちろん、 Real Contact はカンパニーでもなく、カンパニー公演でもありません。
ですから、現役で活躍するダンサーや役者、俳優、あるいは、その卵の人達が参加しているのです。
日野理論が舞台に絶対に必要だと感じた人達が、自主的に集まった舞台です。

Real Contact とは、その名の通り、本当の関わりの事です。
振付や約束だけで作られる舞台の味気なさ。
また、即興という名の無秩序で、自分満足だけの舞台。
そこには、身体能力が見えるか、幼稚な自意識が見えるかの二通りしかないのが、大半のコンテンポラリーダンスの舞台です。

そこから成長し、本当の関係性を持てるダンサーを育てて行きたい、ということで、そしてその舞台を創っていくということで、この名前になりました。

俳優として TV や、役者として舞台で活躍されている平岡秀幸さん。
平岡さんも今回の舞台に参加します。
私と二人で即興で展開します。
その平岡さんが昨年の舞台に対して書いてくれた文章を紹介します。

「演技の訓練はコミュニケーションの訓練である」といっても良いほど、舞台上の俳優には高いコミュニケーション能力が必要とされる。
それは俳優それぞれが、相手役と、舞台装置と、或いはまた今置かれている状況と関わることによって初めて「劇」が生まれるからである。
関わりが深ければ深いほど、より「劇」に深みが出る。
確かに演劇は虚構であり、作り物である。
だからこそ、虚構の上に真実を生み出さねばならないからこそ、より深い関わりが必要とされる。
関わるべきもの同士関わらないまま、何かを生み出したつもりになっている。
そんな演劇ほど退屈なものはない。
いや、それはもはや演劇ではなく、段取りのおさらいである。
本当の演劇とは、関わりの中から何かを生み出すことである。
演技とは、関わりの中から何かを生み出す技である。
それは見せかけの関わりではない。
「つもり」では通用しない世界なのだ。
我々演劇人が求めなければならない、「相手(ものごと)と真に関わることによって、何かが生まれる」という演劇の真髄が、リアルコンタクトの中にある。
全ての演劇人は、リアルコンタクトを必要としている。

Real Contact Project